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認知・認知機能とは何か?
医療現場や介護現場にいると「認知」という言葉を聞かない日はありません。しかしこの「認知」とは何を意味するのでしょうか。専門家の間で共通しているところでは「生きていくための能力」、あるいは「折り合いをつけるための能力」ということになります。例えば家に帰ってきて、冷蔵庫の中にあるものだけで、家族が満足できるものを短時間で作らなければいけない状況を考えてみましょう。このような場面ではあなたの認知機能が総動員されるはずです。料理に限らず私たちが生きていくためには手持ちの限られたものを使って、できるだけうまくやっていく必要があります。つまり理想と現実の折り合いを上手につけていかなければいけません。そういったときに必要になるのが「認知」機能です。ではこの認知機能というのは具体的にはどのような能力なのでしょうか。
アメリカの国立衛生研究所が世界中の専門家にアンケートを取って調べたところ、認知機能を評価するためには、①ワーキングメモリ(短期記憶)②エピソード記憶③言語④情報処理速度⑤注意⑥実行機能の6つが大事だという結果が出ています。①のワーキングメモリというのは、頭に記憶をちょっととどめておくことです。台所に立つときには、まず冷蔵庫の中身を把握しますが、ここで必要なのがワーキングメモリです。②のエピソード記憶というのはどんなことが起こったかという出来事を覚える力になります。献立を立てるときにも家族の食材の好みや体調を考えますが、このように過去の出来事を覚えておく力がエピソード記憶能力になります。③の言語ですが、大事な情報を得るためには言葉を理解する力が必要です。認知症の初期には新聞やニュースに興味を向けなくなりますが、これは言語能力が低下することと関係します。④の情報処理速度はいわゆる頭の回転の速さで、⑤の注意は大事なものに気を向ける能力です。⑥の実行機能は①から⑤までの能力をバランスよく、タイミングよく運用する能力、いわば理想と現実の折り合いをつけるために最も大事な力になります。
このように認知能力というのは「生きていくための能力」、「折り合いをつけていくための能力」であり、欲望を満たすために記憶と言葉と注意を駆使する能力とも言いかえられます。ギャンブルが認知症予防に良いという話もありますが、認知機能は使って減るものではありません。むしろ増えるものです。チャレンジングな人生で認知機能を鍛えたいものです。
【参考文献】
Weintraub S, Dikmen SS, Heaton RK, et al. Cognition assessment using the NIH Toolbox. Neurology. 2013;80(11 Suppl 3):S54–S64.
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