- 目次
糖尿病になる人数は、年齢とともに増加しますが、最近の調査では、60歳を超えると5~6人に1人が糖尿病という、驚くべき数字です。
膵臓から出ているインスリンの量は加齢とともに減少していきます。
また、高齢になると、筋肉量の低下、内臓脂肪の増加、活動量低下などから、インスリンの効果が得られにくくなり、高齢者の糖尿病が増加していきます。
糖尿病の支援には、ライフステージに合わせた療養指導が重要です。
高齢者の糖尿病の特徴
- 食後の血糖が高くなる
- 低血糖症状が出現しにくい
- 重症の低血糖は、転倒・骨折や、認知症、心疾患の発症につながる
- 口喝などの自覚症状の訴えが少なく、高血糖により脱水になりやすい
- 薬効が残りやすく、副作用のリスクがある
- 身体状況、精神状況、家族関係などの社会的条件の個人差が大きい
- 認知症・社会的環境因子・ロコモティブシンドロームなどにより運動量が低下し、筋肉量も減少(サルコペニア)、結果、インスリン抵抗性が亢進しやすい
- やせ型の高齢糖尿病患者では、インスリン分泌能の低下を伴っているケースが多い
糖尿病管理の目標は?
糖尿病治療の目的は合併症を起こさないこと、合併症が進まないようにすることで、糖尿病のない人と変わらない生活の質が保てるようにすることです。
そのためには、血糖値や体重、血圧、血清脂質などを適切な値に保つことが大切です。
高齢者は、年齢、認知機能、身体機能、既往疾患、推定余命など個体差が大きいことが特徴です。
そのため、一律の目標値の設定は実用的ではありません。
薬剤療法中心となってしまうと、先ほども述べたとおり、副作用のリスクが高くなってしまいます。
そのため、血糖が下がりすぎないように、血糖値の下限を設定します。
治療目標は, 年齢, 罹病期間, 低血糖の危険性, サポート体制などに加え, 高齢者では認知機能や基本的ADL, 手段的ADL, 併存疾患なども考慮して個別に設定します。
ただし, 加齢に伴って重症低血糖の危険性が高くなることに十分注意しましょう。
認知症について
特に高齢者の場合、注意したいのが「認知症の発症リスクが増加する」ということです。
認知症の一つであるアルツハイマー型認知症は、糖尿病を持っていない方に比べて糖尿病の方は有意に発症率増加することが調査の結果明らかとなっています。
また、動脈硬化を基盤とする脳血管性認知症のリスクも高まります。
認知症の発症機序として
- 動脈硬化を基盤とする脳血管病変の進展
- 高血糖による酸化ストレス亢進
- 終末糖化産物、インスリン抵抗性、高インスリン血症による脳内アミロイドB蛋白、タウ蛋白の代謝異常・蓄積
などが関与しています。
高齢者糖尿病の方にとっては、「血糖値のコントロールをする」ということは、そのまま「認知症予防」にも効果的であるといえます。
アステッキの教材なら「忙しいあなた」でも資格取得を目指せる。
アステッキの教材を利用した多くの方が資格試験に合格されています。
その理由は徹底した教材作りへのこだわりに隠されています。
あなたも知識の幅を増やしたり、就職の選択肢を広げたりと自身の可能性を広げてみませんか。